おはようございます!
税理士の松嶋と申します。
本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。
私のパートは【毎週木曜日】です。
税務調査について分かりやすく
解説していきます。
それでは、第二百十八回目。
テーマは、
「退職の意義」です。
税務上問題になる役員退職金については、
その役員が本当に退職したと言えるのかどうか
が問題になります。
退職したと言えなければ、そもそも役員退職金を支給することはできません。
このような場合には、退職金として支給したとしても、
賞与として課税されることになります。
このため、退職したかどうかが問題になりますが、短絡的な事実認定
しかできない国税は、往々にして、
役員の肩書だけに注目します。
本来、退職したかどうかは実質判断になるため、勤務実態などを
検討しなければなりませんが、その検討をすることなく、
退職した役員の肩書きが「~事務長」などといった権限ある名称
になっていれば、未だに経営に携わっているとして、退職したとは
認められない、などといった指摘をしています。
このため、実質的に退職していると主張できるかが税務調査の
ポイントになる訳ですが、税務における退職の意義については、
勤務先からの離脱を意味する
と説明されています。
役員の再任を考えていただくと分かりやすいのですが、役員の任期は
基本的には2年とされているものの、中小企業においては
2年で辞めることなく再任されて経営を続けるのが一般的です。
任期を満了しているのであれば、一般的な感覚としては退職金を
支給しても問題ないはずですが、再任が前提となっているのであれば、
勤務先である自社から離脱することはありませんので、
単なる任期満了だけでは退職したとは言えず、役員退職金を
支給することはできません。
結果として、会社に席を置かないことになって初めてその役員は
退職したと言えることになります。
この点、税理士の中では非常によく知られており、再任されるのであれば
役員退職金は支給できないと指導していますが、押さえておきたいのは、
再任された結果は同じでも、再任が前提でなければ退職したと認められる
場合もあるということです。
過去の事例を見ますと、
1 M&Aによって株主に異動があった会社
2 その新株主の下、経営陣を一掃する目的で旧経営陣が退任
3 諸事情があって後任が決まらなかったため、「やむを得ず」退任日と同日に
旧経営者が再任
このような事案がありました。
この旧経営者については、退任する意向はすでに新株主に説明しており、
本来であれば退職していたはずであるとして、再任はされたものの
役員退職金の支給が認められています。
すなわち、本来再任されれば退職とは認められないはずですが、
再任が前提ではなく、「やむをえない」後発的な事情があったため再任
したのであれば、勤務先から離脱をしているとは言えないものの、
退職金の支給が認められる可能性があるのです。
こういう意味からも、退職の判断には実質判断が必要であると言えますから、
単に、退職した役員の肩書き再任したという事実関係
にとらわれることなく、慎重に判断する必要があります。
それではまた来週!!
追伸、
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