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メールマガジン

脱税行為があっても7年遡及になるとは限らない

2019年07月25日

おはようございます! 
税理士の松嶋と申します。 
 
 
本メルマガは、皆様が怖い怖い 
とおっしゃる税務調査に対し、 
勇気をもって戦えるノウハウを 
解説しております。 
 
 
 
私のパートは【毎週木曜日】です。 
 
税務調査について分かりやすく 
解説していきます。 
 
 
 
 
 
 
それでは、第二百二十三回目。 
 
 
テーマは、 
 
「脱税行為があっても7年遡及になるとは限らない」です。 
 
 
税務調査の対象になる年分(税務調査の時効)について、実務で

最も問題になるのは、 
 
脱税行為があった場合に延長される7年 
 
この要件に当たるかどうかです。 
 
 
不正行為に対するペナルティーである重加算税についても、実務では

その要件に当たるか否か、調査官と見解の相違が生じることが多くあります。

このため、脱税行為と一言で言っても、法律上それに該当するかどうか

微妙なところがあります。 
 
 
 
この脱税行為については、法律上 
 
「偽りその他不正の行為により~税を免れる」行為をいう 
 
とされています。 
 

 
問題になるのは「偽りその他不正の行為」の意義です。 
 
 
 
この意義について、名義の仮装や二重帳簿などのあからさまな不正行為は

もちろん、税務調査において虚偽答弁をするなどして税金をごまかす

工作をする場合についても、これに該当する場合があります。 
 
 
 
その他、注意したいポイントが二つほどあります。 
 

 
一つは、脱税行為がわずかでもあれば、 
 
脱税に当たらない部分も含めて、すべて7年間課税処分の対象になる 
 
ということです。 
 
 
 
具体的には、7年前に意図的な売上除外が100あり、それ以外に

1,000の申告ミスがあるとします。この場合、7年前の所得

として税務調査で課税される金額は、脱税行為に当たる100ではなく、

申告ミスも含めた1,100となります。 
 
 
 
次に、脱税行為があったか否かの判断は、 
 
原則として法定申告期限で判断するということです。 
 

 
税務調査前に自主的に修正申告をすれば重加算税は課税されませんが、

脱税行為は自主的に修正申告をしたとしてもそれをなかったことには

できません。法定申告期限を経過すれば、後日修正しても、脱税があった

とされるからです。 

 
 
結果として、脱税行為が7年前にあり、7年前の事業年度の法定申告期限を

過ぎてしまえば、自主修正をしたとしても、7年前の事業年度について

税務調査されることになります。 
 
 
 
ところで、脱税行為とは、大前提として 
 
「税を免れる」行為 
 
を言います。税を免れていなければ、不正行為があっても、

脱税をしたことにはなりません。 
 
 
 
具体的には、 
 
粉飾決算 
 
がこれに当たります。粉飾決算を行った結果、不正に利益を

かさ上げして税金を過大納付しても、税を免れていませんから、

税務調査の時効は7年に延長されません。 
 
 
 
少し専門的になりますが、同様の理屈で、7年前に売上除外があったものの、

それを是正した課税処分が取り消された事例があります。 
 
 
 
この事例では 
 
1 7年前に売上除外があった

 
2 ただし、それ以外に、申告していなかった売上除外に対応する
経費が多額に存在していた

 
3 その経費を差し引けば売上除外による金額が存在しないことに
なるため、結果として売上除外に対応する税額も発生しない 
 
ことになりました。 
 
 
となると、売上除外という不正行為はあったものの、税を

免れていないため、時効は延長されず、7年前の課税処分が

取り消されています。 
 
 
 
 
 
それではまた来週!! 
 
 
 
追伸、 
 
わたくし松嶋洋の詳しいプロフィール 
は以下のサイトからどうぞ!! 
 
↓↓↓ 
 
http://yo-matsushima.com/profile 
 

みつかる