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刀剣について:そぼろ助広

2019年07月19日

おはようございます! 
 
金曜日リラックス担当、顧問の坂入です。 
 
 
<TZC121>刀剣について:そぼろ助広 
 
 
(31)摂津の国:そぼろ助広 
 
 
 「そぼろ」とは、乱れてみすぼらしいという意味のようです。 
 
助広は、一生涯、無位無官で通した硬骨漢の刀工だと伝わります。 
 
 
 寛永年間(1624~1644年)の刀工で、同時代の摂津の国(大阪) 
 
で名声を得ていた「河内守国助」に学ぶ前は、播磨の国(兵庫)の津 
 
田一門で数打ち物専門の「数打師」でした。粗製乱造の量産品を専門 
 
に打つ刀工です。通称「播磨打ち」と呼ばれた家業を捨てて、播磨を 
 
出て初代国助の門下となりました。 
 
 
 助広の刀は、文化2年(1805年)の山田朝右衛門の「懐宝剣尺」の 
 
再版で、「最上大業物」に選出されています。本来、反りが浅く斬るの 
 
に適さなかった寛文新刀では、異例の最上級の評価でした。 
 
 
 生前、助広は苦しい暮らしに余儀なくされ、清貧の暮らしぶりだったと 
 
伝わります。これは、受領名を授かることを求めなかった結果だとも言 
 
われ、此のことが「そぼろ(乱れみすぼらしい)」の謂れになった根拠です。 
 
 
 助広作の刀に見られる刃紋は、独自の「乱れ刃」です。「乱刃」とは、 
 
刃が直線を描く「直刃:すぐは」とは反対に様々な形の線を不規則に描い 
 
ている刃紋の総称です。助広の「乱刃」は「丁子乱:ちょうじみだれ」に

「乱」が交じるという珍しいものでした。 
 
 
「そぼろ」に「乱れる」と言う意味も有り、乱れに乱れを重ねたことから

「そぼろ」と呼ばれたとも言われています。 
 
 
 ちなみに、「丁子乱」とは、同一の目が並んでいる様子が丁子の花の 
 
咲き誇る光景に似ていることから「丁子刃」と名付けられ、この刃の変化 
 
で、目が不規則に乱れた状態を「丁子乱」と言いました。 
 
 
 助広が外に手掛けた作「互の目乱:ぐのめみだれ」も、小波を打つように 
 
同一の目が並ぶ刃紋を、不規則な形にしたものでした。この巧みな乱刃こ 
 
そが「そぼろ」の異名を得た由来だと言い切れませんが、独特の作刀技術 
 
は非凡なものとして最高の評価を得ていることは間違いないでしょう。 
 
 
 評価:そぼろ助広⇒1000万円~ 
 
 
今週はここまでですが、来週も摂津の国の「津田越前守助広」と「井上真改」 
 
の大阪新刀の2名を・・・。 
 
                     元、7、19  坂入 拝 

みつかる