おはようございます!
税理士の松嶋と申します。
本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。
私のパートは【毎週木曜日】です。
税務調査について分かりやすく
解説していきます。
それでは、第二百二十二回目。
テーマは、
「8年前以前は黒字にできない」です。
専門的な話になりますが、税務調査では、課税処分の対象になる年分の
時効が問題になります。
法人税の場合は、
1 原則として過去5年間
2 脱税行為がある年分については、更に2年間さかのぼり、7年間
がその対象になります。
この時効が問題になるのは、時効が成立していない事業年度について、
税務調査の対象になるからです。
これに加えて、法人税の場合の特例として、繰越欠損金に対する
課税処分については、
過去9年(平成30年4月1日以後開始事業年度分は10年。以下同じです。)
分行うことができるとされています。
過去の赤字である繰越欠損金は、発生した年度から9年に渡り将来の
黒字と相殺することができますので、その繰り越せる年分に併せて、
課税処分の対象になる年分が9年に延長されています。
このため、例えば
9年前に1,000の赤字があり、その1,000が繰越欠損金に
なるのであれば、9年前も課税処分の対象になる
ことから、結果として9年前も税務調査される可能性があります。
ここで問題になるのは、
あくまでも9年前、8年前の課税処分の対象となるのは繰越欠損金に
対応する部分についてのみであるということです。
先の例で言えば、1,000の繰越欠損金が発生した9年前は
税務調査の対象になりますが、是正できる金額は繰越欠損金として
申告した1,000が上限となります。
このため、800の売上もれが9年前にあれば、繰越欠損金は
本当は200(=1,000―800)であると
税務調査で国税は是正することができます。しかし、仮に
1,200の売上もれが9年前にあったとしても、
繰越欠損金を0とすることはできても、
200(1,200-1000)の黒字があるという課税処分は
できないのです。
あくまでも、9年前と8年前は、繰越欠損金を増減させる課税処分が
対象になりますから、繰越欠損金を超えて黒字がある、
という課税処分はできないのです。
以上を踏まえると、8年前以前の事業年度については、税務調査の
対象になることはあっても、
追加で法人税が課税されることはないのです。
税法を読めない調査官の中には、税務調査の対象になることをもって
8年前以前の事業年度についても税金がかかる、などと指導することが
ありますが、それは誤りですので真に受ける必要はありません。
加えて、法人税が課税されることがないということは、これらの
年度において間違いがあったとしても、ペナルティーに相当する
加算税が課されることもないことになります。このため、加算税を
減免するために行うべき自主修正についても、これらの年度においては
強いて行う必要はないということになります。
もちろん、過去の繰越欠損金が変わることにより、通常の時効である
5年内の所得金額が変わることがありますので、その場合には、
自主修正を検討する必要があります。
それではまた来週!!
追伸、
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