おはようございます!
税理士の松嶋と申します。
本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。
私のパートは【毎週木曜日】です。
税務調査について分かりやすく
解説していきます。
それでは、第二百十七回目。
テーマは、
「貸倒損失は形式的要件に厳しい」です。
税務において、貸倒損失は非常に厳しい要件があり、回収が難しくなっても、
おいそれと経費として認めてくれません。このため、実務上は
“書面による債務免除”をした上で、貸倒損失を計上することがほとんどです。
債務免除をするということは、債権が法律上存在しないことになったのと
同様ですから、原則として貸倒損失として認められることになります。
この書面による債務免除について、押さえておくべきことが二つあります。
一つは、回収がまだ可能であるのに債務免除をした場合、それは
自分の利益を放棄して売掛先や貸付先に利益を与えたのと同様であるとして、
“寄附金として課税される場合がある”
ことです。
寄附金課税されると全額が経費になりませんので、利害関係がない
他社である場合は別にして、グループ会社に対する貸付金などを
債務免除する場合には、
“回収が現実的に不可能であること”
”債務免除しなければグループ会社の経営が行き詰って自社に不利益が生じること”
といった合理的な理由があることについて、国税と交渉できるよう十分な
資料を残しておく必要があります。
もう一つは、
債務免除は書面により行わなければならない
という点です。
民法においては、債務免除は書面による必要はなく、債務者に対して
口頭で行っても問題ないとされています。
一方で、貸倒損失として法人税の経費にするためには、口頭では足りず、
確実に書面によって債務者に伝える必要があります。
内容証明のような仰々しい書面でなくても問題ないとされていますが、
記録に残るよう、書面による通知は確実に必要であると
されていますので注意してください。
実際のところ、
債権を放棄した事実は認められるが~書面により行われたことを
示す証拠がない~(注:法人税の貸倒れとして経費になる)
法律上の貸倒れに該当しないと、債務免除の事実は認められながら
法人税の経費にならないとされた裁決事例もあります。
ところで、これだけ見ると、書面によって通知することが法人税に
おける貸倒れの要件と思われるでしょうが、法人税法に債務者に
対して書面で通知しなければ経費として認められないといった規定は
存在しないのです。この要件は、国税の解釈である通達に
書かれているものなのです。
国税の考え方として、債務免除の証拠になる書面がなければ、
税務調査で貸倒損失の判断が難しくなるため、国税は通達の中で
敢えて書面で通知することを要請したと考えられますが、
このような要請が、法律上の要件であるかのように取り扱われて
いるのが貸倒損失の怖いところです。
法人税は実質に従って判断することになっていますので、
このあたり甘く考える傾向もありますが、
“形式要件に貸倒損失は厳しい”
と割り切って、慎重に対応する必要があります。
それではまた来週!!
追伸、
わたくし松嶋洋の詳しいプロフィール
は以下のサイトからどうぞ!!
↓↓↓
http://yo-matsushima.com/profile