おはようございます!
税理士の松嶋と申します。
本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。
私のパートは【毎週木曜日】です。
税務調査について分かりやすく
解説していきます。
それでは、第二百七回目。
テーマは、
「簡易課税と申告書の記載に係る真実」です。
売上から概算で、消費税の経費を計算する簡易課税を適用する場合、
以下の注意点があると、国税内部ではいわれています。
・ 売上の種類ごとに、金額や全体に占める割合を申告書に書いておく
・ 書いてなけば区分をしていないことになる
・ 結果として最低の控除割合(みなし仕入れ率)で計算する
私は実際に否認したことはありませんが、申告書に記載しない人の方が
圧倒的に多いため、納税者との交渉で有利に立つための指導事項
として、申告書に記載をしていない税理士をいじめたことは何回もあります。
こういうわけで、簡易課税を適用する場合には、申告書にきちんと
書くように指導されるのですが、法律を研究すると、
実は申告書に金額や割合を書いていなくても、最低のみなし仕入れ率で
計算する必要はないことが分かります。
つまり、現職時代に受けていた指導事項は誤っていた訳で、仮に
否認していれば大問題になっていたのです。
区分していない場合、最低のみなし仕入れ率で計算するとされている
法律について、税金を取る国税は、それを正確な区分をしなかった
納税者に対するペナルティーとして捉えています。
しかし、この条文の趣旨を確認すると、これはペナルティーではなく、
記帳の水準が低い納税者は、区分することが困難である場合も想定されることから、
区分がなされていない場合の適用関係を明らかにしたものと解説されています。
簡易課税は小規模事業者について認められている制度ですが、このような
制度が設けられているのは、小規模事業者は経理水準が低いため、
消費税を簡単に計算できる制度が必要と判断されたからです。
この趣旨と同様、売上の種類ごとに帳簿で区分すると大変ですので、
仮に区分がなければ便宜上最低のみなし仕入れ率で計算することで
問題ない、という意味でこの規定は設けられているのです。
ペナルティーではない以上、
申告書に書いておかなければ区分したことにならない、といった強硬的な
規定ではありませんので、実際のところは非常に融通が利く制度と言えます。
この点、過去の裁決事例においても、
—
申告内容の正当性を裏付ける事業の種類ごとの区分が行われた帳簿等が
異議調査等の段階で提示されたことをもって、申告期限までに当該区分が
行われたと推定せざるを得ない
—
と判断されています。
異議調査とは、申告後に国税から課税処分をされた後、それに不服がある
場合に行われる不服申立ての際に行われる調査です。このため、
申告書に書いておかなければ区分したことにならない、という前提は
成り立たないことは明白なのです。
上層部もろくに法律を読めないし、調べないからこんな誤った
指導がなされるわけです。国税の指導は本当に正しいのか、逐一吟味
する必要があると言えます。
それではまた来週!!
追伸、
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