おはようございます!
税理士の松嶋と申します。
本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。
私のパートは【毎週木曜日】です。
税務調査について分かりやすく
解説していきます。
それでは、第二百五回目。
テーマは、
「平均功績倍率の修正は原則ダメ」です。
税務調査で問題になる役員退職金の適正額については、原則として
平均功績倍率法を基準に計算する
ことになっています。
平均功績倍率法は、退職する役員の
1 最終報酬月額
2 勤続年数
3 平均功績倍率
という役職ごとの倍率を使って退職金を計算する方法です。
この方法は、裁判所も役員退職金の適正額の計算において、最も妥当性が高いと
判断しています。
こういうわけで、実務上は平均功績倍率法を前提に役員退職金を計算する訳ですが、
よく質問を受けることの一つに、
最終報酬月額が役員の功績を正確に反映していると言えない場合、それを修正できるか
という点です。
例えば、会社の業績が悪化したため、役員報酬を一時的に減額させることは
よくあります。
その後、会社の業績は回復したが、将来の不安があるため減額した役員報酬を据え置いて
退職したとすると、退職時の役員報酬は業績の悪化を反映したものであり、回復した現在
の業績を反映しているとは言えないことから、最終報酬月額ではなく、例えば勤続期間中
の最高報酬月額に修正して、平均功績倍率法を使うことができるのではないか、
こんな疑問があります。
確かに、上記の場合、最高報酬月額を使うのは合理的と言えます。このため、
国税OBである、自称税務調査の専門家などは、問題ないと説明しています。
しかし、このような合理的なロジックがあるにしても、最終報酬月額に代えて
最高報酬月額を平均功績倍率法に使って退職金を計算することに、裁判所は否定的です。
平均功績倍率法は、最終報酬月額に役員の貢献が最も反映しているという前提に
立った方法ですので、
最終報酬月額が役員の貢献を反映していないのであれば、そもそも平均功績倍率法
を使えない
このような判断が通例です。結果として、平均功績倍率法ではなく、別の方法で
適正額を計算すべきだと裁判所は判示することが多いのです。
このため、
平均功績倍率法を修正して役員退職金の適正額を計算するのは危険である
という結論になり、平均功績倍率法を適用することができなければ、
1年当たり平均額法という方法で計算するべきと裁判所は指摘します。
この1年当たり平均額法は、
1 類似法人の役員退職給与の1年当たり平均額
2 退職する役員の勤続年数
の2つの要素を乗じた金額を役員退職金の適正額とする方法を言います。
計算方法としてはシンプルですが、困るのは
類似法人の役員退職給与の1年当たり平均額が分からない
ということです。
このような事情がありますから、国税が役員退職金を否認する場合や裁判所が
適正額を計算する場合を除いて、実務では基本的に使われない方法です。
1年当たり平均額法が妥当というのであれば、本来それを使えるように
きちんとした整備をするのが妥当なのですが、いつまでたっても法整備が
なされないという困った現実があります。
結果として、最終的にはゴリ押しで適正額を通すしかなく、そのゴリ押しを
売りにするOB税理士の特権がますます増えます。
このような形で、現職からOB税理士に利益供与がなされているのが
税務行政の真実なのです。
それではまた来週!!
追伸、
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