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相続のトラブル・対策、ご相談

第2回
「不幸な人は弁護士に相談し、
幸せな人は税理士に相談する?
幸せな相続を目指して」

「不幸な人は弁護士に相談し、幸せな人は税理士に相談する」とは
どういうことでしょうか?

「不幸な人は弁護士に相談し、幸せな人は税理士に相談する」とはどういうことでしょうか?

私たち税理士は、法律の垣根があるため、もめているところには入れません。
遺産分割協議の現場では、相続人の方を集めて遺産の分け方についてお話しますが、そこで折り合いがつかない場合に私たちはタッチできないのです。
血を分けた家族間で、あいつより一円でも欲しいとなったときには、弁護士さんが登場することになります。それぞれ皆さん、何十万、何百万円を払って弁護士をつけて争い、自分の手取りがちょっと増える。
それがいかに無駄な時間で、無駄な費用か。
私たちはどうすれば相続人の皆さんそれぞれの取り分が増えるか、どうやったら税金を抑えられるか、という点に重点を置いています。
相続は、思いもよらないお金がある日突然に入ってくる話です。なんら苦労もせずに大金を手にすることができるのです。それに対して税金を一切払わないというのは基本的には無理です。ですから、税金は払うにしても、それをどうやって工夫して減らせるかというのが私たちの仕事です。これは幸せなご相談です。
ところが、相続人の中に自分勝手な人がいて、「俺の取り分を他の相続人よりも多くしたい」というケースがあります。相続人間でお金の取り合いをするのです。つまりは血族同士の争い、これは不幸です。そして、そのような人たちは自分たちの取り分を1円でも多くするために、それぞれが弁護士に依頼することになるのです。
これが、「不幸な人は弁護士に相談し、幸せな人は税理士に相談する」ということです。

「不幸な人は弁護士に相談し、幸せな人は税理士に相談する」とはどういうことでしょうか?

トラブルにならずに終わることが皆様何よりの願いでしょうね。

トラブルにならずに終わることが皆様何よりの願いでしょうね。

本当ですね。
そのトラブルを、私たちのところで止められれば、無料相談の範囲内で終わるかもしれません。しかし、実際にもめたり調停になったり、果ては裁判沙汰ということになれば、お金も時間もすべてが無駄になる。最も悲しいのは、親族、血を分けた兄弟が相続を機に離れ離れになるということですよね。
たとえば、私が15年くらい前に手続きをした、ある相続の遺産分割協議(遺産の分け方を決めること)は、未だに協議が成立していません。ご兄弟が三人いて、長男が不動産と事業を引き継いでいるのですが、下の二人が均等に分けろ、金でよこせと言っている。
ご相談をいただいた時点では、遺産分割協議が成立していないために税制の恩典を受けることもできず、単純に相続税を三等分して払いました。その後調停となり今まだ係争中です。15年も経ってしまえば、当時60歳だった人でも75歳になります。だんだん、彼ら相続人も自分の相続を考える年齢になっていきます。もしこのまま亡くなれば、この相続争いがその相続人の子ども、孫へと継続されていきます…。
これはとても不幸な話です。

トラブルにならずに終わることが皆様何よりの願いでしょうね。

そうならないために、相談についてどのタイミングで
考えればいいのでしょう?

そうならないために、相談についてどのタイミングで考えればいいのでしょう?

生前です。亡くなる前ですね。
相続発生前に対処しておかなければ何も防げないと思ってください。
早いほうがいい。もっと言うと、遺言書を親が書ける状態のときがベストです。
相続人がもめないための対策は、生前にしかできません。また、相続が発生した後の節税策はほとんどありません。いかに分けるか、その分け方だけになります。
相続対策には3原則があります。
①円満な相続のための対策、②円滑な納税のための対策、③節税対策、の3つです。
相続が「争族」にならないよう、必ず①→②→③の順で対策を行うことが重要です。節税対策ばかりを提案する税理士は相続のプロではありません。
亡くなった方の想いや相続人の現況をきちんと見極め、長期的なビジョンで相続人と一緒になって考え、相続人全員が幸せと思える相続をバックアップすることが相続のプロの仕事です。
話が横にそれてしまいましたが、相続が始まる前に家族できちんと話すことが対策です。
もちろん話しづらいとは思いますが、そこは勇気を出してください。

そうならないために、相談についてどのタイミングで考えればいいのでしょう?

家族でもなかなか話しづらい話題ですが。

家族でもなかなか話しづらい話題ですが。

そういうときに、エンディングノートがあるのは一つのきっかけになるかもしれません。寝室やトイレにそっと置いておくとか(笑)
エンディングノートは、お金にこだわるところを書かなくてもいいですから。むしろ、そのほうがいい。
要は、自分の親たち、書く人の立場になれば自分が、どういうものの考え方をしているか、子どもたちに伝えたいこととか、気持ちを書いてほしい。案外、親子だと恥ずかしくて、なかなか言えません。そのついでに財産があれば、もめないように書いておきたいという方もいるでしょう。あくまできっかけですが、それが上手な使い方になります。

家族でもなかなか話しづらい話題ですが。

そのうえで、相談のタイミングは早いほうがいいということですね。

「そろそろ危ない…」や「結構、財産がある…」とかですね。逆もあるんですよ。「借金がどうもいっぱいありそうだ…」と。「借金も相続しなければいけないんですよね」と早い段階で相談にくる方も少なくありません。
いまは相談もしやすくなっています。
第一回でお話したとおり、相続税改正でご相談が増えており、税理士業界でも「バブルが来た」という感触で受け止められています。このこともあり、各税理士事務所では、お客様への間口がどんどん広げられている状況です。
ただ、皆様に知っていただきたいことは、すべての税理士が相続のプロフェッショナルではないということなのです。

第3回へ続く