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メールマガジン

仮装隠ぺい行為の故意が必要になるか

2019年02月14日

おはようございます! 
税理士の松嶋と申します。 
 
 
本メルマガは、皆様が怖い怖い 
とおっしゃる税務調査に対し、 
勇気をもって戦えるノウハウを 
解説しております。 
 
 
 
私のパートは【毎週木曜日】です。 
 
税務調査について分かりやすく 
解説していきます。 
 
 
 
 
 
 
それでは、第二百二回目。 
 
 
テーマは、 
 
「仮装隠ぺい行為の故意が必要になるか」です。 
 
 
 
税務調査でよく問題になる重加算税については、 
 
仮装隠ぺい行為の故意が必要になるか? 
 
が問題になります。 
 

 
重加算税は仮装隠ぺいにより、税金を安く申告した

 
場合に課税されます。 
 
 
 
国税の見解としては、 
 
仮装隠ぺい行為の故意がなくても、仮装隠ぺい行為と評価できる行為が

 
事実としてある場合、重加算税の対象になると説明されており、

私の現職時代にもこのように指導されていました。 
 
 
 
具体例を申し上げると、例えば数年前、帳簿に売上を記載することを

忘れてしまい、現在まで売上の計上がなされていなかったとします。 
 

 
この場合、単純ミスであっても、売上の計上が現在までなされていない

のであれば、それは仮装隠ぺい行為と評価できるため重加算税の対象

になると説明されます。 
 
 
 
一方で、国税の指導とは異なり、単純ミスである以上は仮装隠ぺいには

ならず、積極的に売上を隠そうという故意がなければ、重いペナルティー

である重加算税にはならないはず、というのが人情としては当然にあるはずです。 
 
 
 
このような意見の相違が税務調査では何度も見られますが、実は30年以上

も前の判例で、この問題は解決しています。 
 
この判例(和歌山地裁昭和50年6月23日判決)においては、 
 
不正手段による租税徴収権の侵害行為を意味し、「事実を隠ペい」するとは、

事実を隠匿しあるいは脱漏することを、

 
「事実を仮装」するとは、所得・財産あるいは取引上の名義を装う等

事実を歪曲することをいい、いずれも行為の

 
意味を認識しながら故意に行うことを要するものと解すべき 
 
と説明されています。 
 
 
 
故意が必要である以上、やはり単純ミスによるものであれば、

隠そうという故意はないため、仮装にも隠ぺいにも当たらず、

 
重加算税が課されることはないという結論になります。 
 
 
 
実際のところ、当初の申告にミスがあり、申告すべき所得が過少

になっているという事態は非常に多くあります。 
 
 
この過少になっていることも、広く見れば所得を隠ぺいしていることになります。 
 
となれば、重加算税の対象になってしまいますが、このような結論は

妥当でないことは明白ですから、法律の要件としては 
 
通常の過少申告とは異なり、故意に基づく仮装又は隠ぺいという

特殊な要件が重加算税には必要とされているのです。 
 
 
 
このように、仮装隠ぺい行為には故意が必要というのは明白なのですが、

今に至るまでそれと矛盾した指導がなされるのは、 
 
当初から所得等を過少に申告する意図であったことを外部からも

うかがい得る特段の行動があれば、重加算税を課税できるとした

最高裁の判例があるからです。 
 
 
 
外部からうかがい知る、となると、故意を持って積極的な隠ぺい仮装を

しなくても重加算税が課税できることになります。 
 
 
このように、国税は都合のいい判例は広く使いますので、反論する

場合には注意が必要になります。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
それではまた来週!! 
 
 
 
追伸、 
 
わたくし松嶋洋の詳しいプロフィール 
は以下のサイトからどうぞ!! 
 
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