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下総の偉人その2 大原幽学(第5回)(2018/01/26)


 

 

 

 

おはようございます!
東京税経センター顧問の坂入です。

 

今週は下総の偉人「大原幽学」の最終話です。

 

八州廻りの保身によって訴えられた話で先週は終わりました。

 

勘定奉行の下での、調べの中心は

1.幽学自身の出自:身分

2.「性学」の正邪

3.創設し実践した新たな諸制度の可否

以上の3点でした。

 

当時の公事(裁判)は、当事者を江戸の白州(裁判所)である

勘定奉行所に呼び出して、公事宿(百姓宿とも呼ばれ現在の

日本橋馬喰町近辺に多くありました)に泊めて、白州(裁判)の

開催に合わせて呼び出して調べを行うという手続で、通常の

事件でも2~3年の期間に及ぶものでした。

 

特に、この時期、嘉永から安政の時期は、ペリー来航をはじめ

とした幕府始まって以来初めての外交交渉や安政の大地震等々

で、幕府は幽学の裁判どころではありませんでした。

 

結果として、裁決が出るまでに6年もの長い時間が要され、折角

20年もの長い時間をかけて再興された下総の村々は、この間の

裁判費用(村役人などの江戸滞在費用等)を負担するだけで、再び

破たん状態になったとも伝わります。

 

<裁決の内容>

1.門人(百姓たち)へ

村内の荒廃した風俗を改めて、困窮から立ち直ろうと大原幽学

の弟子となり、身分をわきまえて、慎み深く身を処するなど、教え

を実践したことは、心底、誠に奇特である。

しかし、年貢地ではないとは言え、伊平衞の持ち山を切り開き、

石垣をもって土留めし、道をつけ、庭を造り、木戸を構え、教導所

を建てて、追々調度を取り揃えたるは、農民に不相応なる致し方

である 。

この不始末、不埒につき長部村の源兵衛には過料三貫文、他は

きつく叱りとする。教導所は取り壊し、先祖株によって一纏めとした

地所は、めいめいに割り戻せ。五人組帳前書、其の余、前々よりの

御触れのこと堅く守ること。

 

2.幽学へ

まともな教育も受けずに、素読もままならず、生まれも定かでなく、

系統だった知識もないまま、神道、仏教、儒教の聞きかじりで、愚か

な百姓に、その都度、場当たり的な都合の良いことを論ずることは、

異端である。

しかし、別に奇怪の儀、申し触れ候には、これなく。中庸を愚昧の

者どもに分かり易く、手近に申し諭し、または、ご法度を堅く守り、

領主地頭を重んじ、その身を慎み、先祖、父母等も大切に致すべく、

すべての百姓どもの為筋に相成るべき儀を教示致し候。教導所を取

り建て、先祖株を唱え、議定取決め候も、領主役場聞き済みを受け

候儀にて、且つ、百姓株又は田地等の儀、仕置き筋に関わり候につき、

同人の身分、携わるべき筋に此れ無きところ、道友先祖株などと唱え

候儀、定め取決め追々田地一纏めに致し候次第取決め候始末不埒に

つき「百日押し込め」を申しつくる。

 

以上の判決でした。

 

この裁決は、安政4年(1857年)のことでした。

 

幽学は、勘定奉行の裁決が出て、「百日の押し込め(牢屋敷への拘留)」

の刑に服した翌年に、長部村に戻り、約二十年に亘る下総の農村再生の

苦労の結果が、自らの6年にもなる訴訟で元の木阿弥となってしまったこと

に責任を感じ、同時に、自分の身分をろくな教育も受けない武士でもないと

結論つけられたことへの矜持から、長部村で、武士として、作法に則った

「切腹」をしました。

 

長部村の人々は、幽学に

 

「理性院幽玄道学居士」

 

という戒名を附けて、長部村に埋葬しました。

 

明治維新の僅か10年前のことでした。「米」を経済(財政)の中心に置いた

重農主義経済体制から「貨幣」を中心とした重商主義経済へ社会が転換しつ

つあった社会情勢にも関わらず、270年の体制維持に固執して、社会の動

静に追いつけなかった幕府が崩壊することは自然の帰結と思われる、出来

事の一端でもありました。

 

もう10年持ちこたえていれば、下総の農業は、もっと違ったものになって

いたことは想像できるでしょう。

 

チャンバラ小説からの雑学を継続してきました。身近な下総の偉人の代表

二人を取り上げて「伊能忠敬」「大原幽学」のことを述べて来ました。

 

チャンバラ小説のメイン:主役となる下総の偉人の一人「剣客」をと思って、

剣術の祖「飯篠長威斉(下総の偉人その3)」を始めようとして、整理しながら

取りあえず上記の二人の話を採用しました。

 

来週からは、剣豪と刀剣の話に入りたいと考えていましたが、まだ、整理が

つきませんでしたので、つなぎとして「江戸の事情」をもう少し述べてみます。

当面は、江戸幕府の端緒となる「征夷大将軍」について・・・。

TZC 顧問 坂入 拝

 

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