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東京税経メルマガ



概算取得費に見る交渉の重要性(2016/09/08)


おはようございます!
税理士の松嶋と申します。

 

本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。

 

私のパートは【毎週木曜日】です。

税務調査について分かりやすく
解説していきます。

 

 

 

それでは、第八十五回目。

 

テーマは、

「概算取得費に見る交渉の重要性 」です。

 

個人が土地や建物などを売却した場合には、譲渡所得が課税されます。
この譲渡所得の計算上、

概算取得費という制度

があります。

譲渡所得は、譲渡した収入から、買った値段を基礎として計算される一定の
取得費、そして譲渡に関係する譲渡費用を控除して計算しますが、譲渡した
資産の取得費が分からない場合、

譲渡対価の5%を取得費とする

という特例がこの概算取得費なのです。

 

ここからお分かりになる通り、このルールでは売却額の95%も税金の対象と
なってしまいますから、概算取得費はとんでもない制度と考えられています。

 

このため、マイホームを建てるなど、不動産の購入を行った場合には、

将来の譲渡を見越して資料を保存しておくべき

といった指導がよくなされています。

 

この概算取得費ですが、税務調査でも往々にして問題になります。よくある例は、

何十年前に買った土地を、相続した後でを売却するケース

などです。古すぎて金額なんてもう忘れた、というケースはとても多くあり、その
都度私たち税理士も悩みの種です。

このような場合、当然ながら調査官は、

概算取得費しか使えないため、5%の控除額で取得費を計算してください

と指導します。95%も課税されてとんでもない、と思ってしまいますが。
裁決を見ると

市街地価格指数という参考指標で計算した取得費を認めた事例がある

のです。参考指標ですので、実際に購入した値段ではありませんが、
合理的な金額には相違ないため、問題ないというのが実は譲渡所得の
計算のスタンスなのです。

 

加えて、私の立会い事例を申し上げますと、

実際に購入した金額を証明できない以上、取得費は5%とせざるを得ない

という調査官の指導に対し、

1 立証責任は原則的には国税にあるため、納税者が証明する義理はないはず
2 1の理解が間違っているなら、「取得費の資料を納税者が保存しなければならない」
という法律があるはずだが、その法律はどこに書いてあるのか?

と反論すると、法律を調べて後日回答すると逃げました。

 

この交渉の結論を申しますと、法律を調べて回答する、と言いながら回答せず、後日

今回は問題としません

と言ってスル―されました。

 

法律を調べる手間が面倒であることに加え、5%しか引けないと納税者に厳しすぎますから、
敢えて問題とせず認めてあげようか、という考えがあったのでしょう。

 

これらの具体例からお分かりになる通り、税の世界はすべからく法律によらなければならない、
などと言いながら、

裁判例等を調べたり、じっくりと交渉したりすれば、法律に則っているとは言い難いものの、
納税者にとって有利な取扱いがなされることが現実としてはある

のです。

 

こういうわけで、税務署の指導に何の疑いも持たずに従うことは危険であり、

一度持ち帰って、判決等をよく調べたり、十分な交渉をしたりする必要がある

のです。

 

 

何より、このような考え方は、単に税務調査対策、というだけでなく、

毎年行う申告に当たっても必要な姿勢

となります。

 

というのも、取得費の証明ができないから概算取得費しかない、と考えて
申告納税をしたとしても、

国税が気を利かせて概算取得費よりも有利な市街地価格指数で計算して
税金を返すことは絶対にない

ですし、後から市街地価格指数が有利と気づいて、更正の請求という手続きを
活用して税金の還付を請求したとしても、

法律上は概算取得費で問題ないとされていますので、還付する理由はない

という無機質かつ無慈悲な回答がほぼ間違いなく返ってくるからです。

 

公平性の観点からは問題があることも事実ですが、知識があるものが得をするのが
税務実務と割り切って、自己に有利な戦略を考えていく必要があると言えそうです。

 

 

それではまた来週!!

 

追伸、

わたくし松嶋洋の詳しいプロフィール
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http://nnp.y-ml.com/cs/Daily/738/2087

 


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